Picture of the Year コンテスト、待望のマルチメディア部門の最初は、スポーツ部門。このカテゴリーの入賞作が発表された。
Pictures of the Year International, Sports Multimedia Story
で、1位はこれ。
“Uppercut”
シリコンバレーにある「ジェントルマンズ・ファイト・クラブ」という、ブラッド・ピットが出た映画を地で行くような、趣味で喧嘩を楽しむ人たちのクラブのドキュメント。仕事を終えたシリコンバレーのエンジニアたちが、夜な夜な集まっては「趣味の喧嘩」を楽しむという摩訶不思議なクラブを取材している。よほどストレスがたまっているのか、一日コンピュータに向かい合っているとおかしくなるのか、なんとも信じがたい光景が展開される。
とあるガレージにこのクラブはあるらしい。創設者はソフトウェアエンジニア。殴り合って、みんな仲良くなるらしい。いきなり防具もつけない喧嘩の風景があるかと思えば、誇らしげな傷の見せ合い、ヘルメットをつけてキーボードで殴る、ホームセンターで調達した折たたみ式椅子で殴る、等、もう支離滅裂。
テンポのいい場面展開と、白黒映像、モノローグが何とも言えず不思議な雰囲気を作り、こういう世界が存在することに、思わず「口あんぐり」である。単なる映像の強さだけでなく、こういう驚きの題材を選んだジャーナリスティックな感覚が1位の原因ではなかろうか。
制作は、Zackary CanepariとDrea Cooperのお二人で、”California is a Place “というカリフォルニアをさまざまな映像作品で見せているウェブサイトをほとんど二人で作っているようだ。(※今回作品で初めて知ったが、このサイト、他にもいろいろな映像があって、なかなか面白い。いずれ詳しく紹介したい)
さて2位。
デトロイトの歴史ある新聞、”Detroit Free Press”のEric Seals氏のストーリー。バスケットボールの試合で突然の心臓発作で倒れた高校生、ウェス・レナード君の話。体育館の壁に掛かっているべきAEDは、子供がいたずらするからという理由で倉庫に保管され、彼の元に届いたときには電池切れだった。そして、レナード君は帰らぬ人となる。記録映像とチームメート、コーチ、関係者へのインタビューを交え、彼を失ったチームがその後優勝するまでを追った。アメリカの小さな町のコミュニティの様子をよく描いている。新聞記事(テキスト)の方は、母親が息子の死にもめげず、AED設置のための活動を行っていることが書かれていて、これも泣かせる話だ。
(※実は制作者のEric Sealsは筆者の友人であり元同級生なので、個人的にもうれしい!おめでとう!!)
3位は、カリフォルニア州サンディエゴの地方紙、”The San Diego Union-Tribune “のJames Gregg氏の、”Dancing with the Devil.”「悪魔とのダンス」とは、牡牛のロデオに挑む男達のストーリーである。その荒々しさを伝える迫力ある映像だ。
その他の入賞(Award of Excellence)は以下の二つ。
こちらはボストンの伝統ある新聞社、”Boston Globe”紙のDarren Durlach & Sopan Debによる、NBAの殿堂入りしたバスケットボール選手、ビル・ラッセルの銅像をボストンに作ろうという物語。”Bill Russell to get a statue in Boston.” ボストンのバスケットボールチーム、セルティックスで偉大な功績を残した黒人プレーヤーで、公民権運動の時代に毅然と人種差別に反対し、オバマ大統領から勲章も受けた人物。彼の歴史を振り返る、地元紙ならではのストーリだ。
最後は、アフリカのウガンダの貧困にあえぐ小さな町で、チェスの才能に目覚めた15歳の女の子の物語、”Phiona Mutesi – Queen of Katwe.” 制作はフリーランスのStephanie Sinclair氏(所属はドキュメンタリーフォトのエージェンシー、VII[セブン])。スポーツカテゴリーにあるのは、これがスポーツネットワークのESPNの番組として作られたものであり、このチェスを広める活動が、ウガンダのスポーツ・アウトリーチ・プログラムの一貫として行われているからであるらしい。ESPNはときどきこういう素敵なヒューマンストーリーを作る。
以上の作品、このようにすべてウェブ上に公開されており、そして、すべて埋め込み可。だから、私もこうやって紹介できるし、世界中いろいろな人がいろいろな言語で紹介するに違いない。どんどんシェアされて広まっていくであろう。
5作品のうち3つまでが新聞社の制作であること、さらに1つもフォトエージェントの作品であることも、これからのメディアの有り様を示すようで興味深い。
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涙無くしては見れぬ・・ Good job, ESPN!



